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最高裁判所第三小法廷 昭和29年(あ)2502号 判決 1956年4月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人安藤真一の上告趣意について。

第一審判決は、その挙示する証拠によって、第一事実として、被告人が本来自由競争ならば百六十五万円位で入札する予定であったものを判示のように各指名入札人等と談合を遂げた上、被告人の菊水建設株式会社の入札金額を百九十二万八千円と記載し、他の入札人の入札書には右金額よりも高額に入札金額を記入させて入札した事実を認定しているのであるから、被告人において論旨引用当裁判所判例のいう「当該入札において公正な自由競争によって形成されるであろう落札価格」を害する目的で談合したことは明らかである。それ故、原判決が右判例を引用して所論のように判示したことは、まさに所論判例に従ったものであって、少しもこれと相反する判断をしたものではない。また第一審判示第二事実に関する原審の判断も正当であって、所論の違法はない。

なお記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 垂水克己)

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